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油温考察

2015.09.28

油温が120℃を越えるというと、「えっ!そんなに上がる?」的な反応を示されることがしばしばあります。
居住地が都市部ゆえに慢性的な渋滞で速度が出せず空冷効果が見込めないことや、車検排ガス対応のためにかなり薄めのセッティングになっており、燃料による冷却効果も少ないことが原因だと考えています。
油温の計測にはドイツRR社製のエンジンオイルリッドに差し込むタイプ、天ぷら温度計のオバケみたいなものを使用して直接オイルパンの温度を測定していますが、それ自体の精度が低いのでは無いかという疑念を抱きました。
なにせセンサー部のスティックが20cm以上ありますから、オイルでは無くエンジンケースの温度を拾っているのではないかという推測です。

↑ ディップスティック型のセンサーはエンジンケースにわずかに触れながらオイルパンの油面に触れている様子です。
しかし、シリンダー直近ならいざ知らず、理論的にはエンジンケースやオイルパンの温度≒油温のはずなんですけどね。

と、いうことで疑問に思ったら即実験。
机上の理論も重要ですが、実際に起きている現象を把握して対策することが最も重要です。

一般道を20kmぐらい走り、ディップスティック型の油温計が示す温度は82℃。

いつもなら100℃を越えるコースですが、新型フロントカバーとオイルクーラーが効いているのか、以前より温度の上昇は低めです。

すぐにディップスティック型の温度計を取り外して最も原始的でありながら信頼性の高いガラス管式温度計を差し込みます。
なるべくエンジンケースに触れないように保持すること5分ほど経過・・・

結果80℃ジャストと計測されました。
時間経過に伴う油温の低下を考えると、RR社製ディップスティック型の温度計はかなり正確であることが判りました。
と、いうことはやはり実際に120℃になっているんですね、最高140℃まで上げたことがありましたけど/(^o^)\

ここからは予想ですが、デジタル式温度センサーで極端に低い温度を計測するのは何か原因があると考えています。
元々デジタル温度計に使われるサーミスタや熱電対は温度に対する特性がリニアではありません。
それを付加回路やソフトウェアで補償して実際の温度に近づけているのですが、良くある事例が温度計メーカーとは別のメーカーのセンサーを使ってしまうことです。
例えばデイトナの油温計に武川のセンサーを使ってしまうようなそんなケースですね。
恐らくフィッティングの都合やコストの面でそのような組み合わせにしてしまうのだろうと考えますが、使われているサーミスタが異なれば補償値も全く変わりますから正しい値は示しません。

デジタル温度計はセットになったセンサーを正しく使ってこそ正確な数値が得られるものなのです。
さすがにオイルパンのドレンに付けたセンサーで60℃ぐらいというのはそんな事例じゃないのかなぁと思った次第。

少なくともRRのディップスティック型温度計の数値は信用して良さそうです。

個人差はありますが、3~4秒手で触れられる温度が60℃ぐらい、指先で3秒程度我慢できるのが70℃ぐらいと言われています。
それからするとオイルクーラーコアの温度は70℃ぐらい、オイルフィルターの外殻部は60℃以下になっているようです。

真冬の快走路ではオーバークールを意識しないといけないかもしれませんね。